

近年、結婚のきっかけとして急速に存在感を増しているマッチングアプリ。「アプリで出会ったカップルって、結婚後も本当にうまくいくの?」「長続きしやすいって本当?」といった疑問や不安を抱いている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、公的なデータや専門家の見解に加え、海外の先行研究を参考にしながら、マッチングアプリでの出会いが結婚の継続にどのような影響を与えるのか、そのメリットとリスク、そして幸せな関係を築くための具体的な対策を詳しく解説していきます。
「マッチングアプリ婚」が長続きしやすいというポジティブな見解

現在のところ、マッチングアプリで出会って結婚したカップルの結婚生活が、他の出会い方(職場、友人紹介、学校など)と比べて特別に「長続きしにくい」ことを示す決定的な統計データは、日本においてはまだ十分に蓄積されているとは言えません。しかし、いくつかの研究や専門家の見解からは、むしろポジティブな側面が指摘されています。
1. 「結婚への意欲」が高い状態で出会っている傾向
多くのマッチングアプリ、特に婚活を目的としたアプリの利用者は、最初から「結婚」を明確に意識して登録しています。これは、従来の出会い方にはあまり見られない、アプリならではの大きな特徴です。
- 明確な目的意識: 出会う前からお互いに「結婚」という共通のゴールを持っているため、交際開始後のミスマッチが少ない傾向があります。結婚の意思が固まっている者同士が出会うことで、関係がスムーズかつ真剣に進展しやすいと言えるでしょう。
- 効率的な相手探し: プロフィールで結婚観、将来の展望、子どもの希望、居住地、転勤の有無など、結婚生活に直結する重要な情報を事前に確認できます。これにより、無駄な時間をかけずに、自分と価値観の合う相手を見つけやすくなります。
2. 事前の「条件」や「価値観」のすり合わせが容易
マッチングアプリでは、プロフィールに掲載される様々な情報(年収、学歴、職種、趣味、休日の過ごし方、喫煙・飲酒の有無など)を通じて、相手の基本的な情報を知ることができます。また、メッセージのやり取りを通して、さらに深い価値観や考え方について探ることが可能です。
- ミスマッチの軽減: デートを重ねてから「こんなはずじゃなかった」と価値観のずれが発覚するリスクを減らせる可能性があります。例えば、金銭感覚、家族観、子育てに対する考え方など、結婚生活において重要な要素を、比較的早い段階で確認し合うことができます。
- 本音で話しやすい環境: アプリ上のテキストでのやり取りは、対面では聞きにくいような結婚観や将来設計について、心理的なハードルを下げて質問しやすい側面があります。これにより、関係が深まる前に、お互いの譲れないポイントを理解し合える機会が増えます。
3. 「多様な価値観」の相手と出会える可能性
職場や友人関係といった限られたコミュニティの中では、出会える相手のタイプが偏りがちです。しかし、マッチングアプリは、普段の生活圏では接点のない、多種多様なバックグラウンドを持つ人々と出会う機会を格段に広げてくれます。
- 視野の拡大: 自分の凝り固まった理想像にとらわれず、より広い視野で本当に相性の良い相手を見つけられる可能性があります。多様な職業、年齢層、居住地、趣味を持つ相手との出会いは、新たな視点や学びを与え、関係をより豊かにする土壌となり得ます。
- 妥協点の発見: 多くの選択肢の中から比較検討することで、自分にとって本当に大切なものが何かを再認識し、必要であれば柔軟に妥協点を見つけることができるため、結果的に満足度の高いパートナー選びに繋がりやすいと言えます。
4. 海外の研究からも示唆されるポジティブな傾向
アメリカではマッチングアプリやオンラインデートが日本よりも早く普及しており、これに関する社会学的な研究も進んでいます。例えば、以下のような研究が挙げられます。
- シカゴ大学ジョン・カシオポ教授らの研究(2013年) シカゴ大学のジョン・T・カシオポ教授(John T. Cacioppo)らがPNAS(米国科学アカデミー紀要)に発表した研究では、オンラインで出会って結婚したカップルは、オフラインで出会ったカップルに比べて離婚率が低く、結婚満足度が高い傾向にあることが示唆されました。この研究は、オンラインでの出会いが広範な選択肢を提供し、より適合性の高いパートナーを見つける可能性を高めるという見解を示しています。
- 出典: Cacioppo, J. T., Cacioppo, S., Gonzaga, G. C., Ogburn, E. L., & VanderWeele, T. J. (2013). Marital satisfaction and break-ups differ across on-line and off-line meeting venues. Proceedings of the National Academy of Sciences, 110(25), 10135-10140.
こちらの研究は、オンラインでの出会いが「結婚に対する真剣度が高い」「事前に多くの情報をすり合わせる機会がある」といった特徴を持つため、関係の安定性に寄与する可能性があることを示しています。
長続きしないリスク要因と対策(マッチングアプリに限らず)

一方で、マッチングアプリでの出会いに限らず、どんな出会い方でも結婚が長続きしないリスク要因は存在します。そして、それらのリスクを軽減するための対策は、アプリ婚でも非常に重要です。
- 表面的な情報に惑わされるリスク プロフィール写真が加工されていたり、自己紹介文が「理想の自分」に寄りすぎたりしている場合、実際に会ったときのギャップに戸惑うことがあります。
- 対策: メッセージのやり取りで人柄や内面をしっかり見極めること。また、実際に会う際は一度きりで判断せず、複数回デートを重ねて相手の自然な姿や言動を観察し、深く知る努力をしましょう。
- 理想が高くなりすぎる「アプリ疲れ」のリスク 多くの候補の中から相手を選べるため、「もっと良い人がいるのでは?」と理想が高くなりすぎたり、次々と新しい出会いを求めてしまったりする「アプリ疲れ」に陥る人もいます。これにより、目の前の良いご縁を見逃してしまう可能性があります。
- 対策: 相手に完璧を求めすぎず、「自分にとって本当に大切なものは何か」という軸を明確に持つこと。そして、一緒にいて心地よいと感じる相手、信頼できる相手との関係を大切に育むことに集中しましょう。
- 関係を深めるプロセスの省略リスク マッチングアプリでの出会いは、メッセージ交換からデート、交際、結婚と、比較的スピーディーに進展することがあります。焦って関係を進めすぎると、お互いの価値観や性格の深い部分を理解する時間が不足してしまう可能性があります。
- 対策: 相手のペースも尊重しつつ、焦らずじっくりと関係を育む時間を設けることが重要です。同棲してみたり、共通の友人と会ってみたりするなど、様々なシチュエーションで相手の人間性を見る機会を作りましょう。
- 出会いの数に安心してしまうリスク アプリで出会える人が多いため、「いつでも出会える」という安心感から、目の前の関係を疎かにしてしまうことがあります。
- 対策: 目の前の相手との関係を真剣に育むこと。マッチングアプリはあくまで出会いのツールであり、その後の努力なしに関係は深まりません。
まとめ:出会い方よりも「関係の築き方」がカギ

最終的に結婚が長続きするかどうかは、マッチングアプリでの出会い方そのものよりも、結婚後の夫婦関係をどのように築いていくかにかかっています。
- 夫婦間のコミュニケーション: 日々の感謝や不満、喜びを素直に伝え合い、お互いの意見を尊重するコミュニケーションが不可欠です。
- 共通の目標と価値観の共有: 結婚生活を通して何を大切にしたいか、どんな未来を一緒に描きたいかを定期的に話し合うことが、絆を深めます。
- 困難を共に乗り越える姿勢: 予期せぬ困難やストレスに直面したときに、一人で抱え込まず、夫婦で協力して乗り越えようとする姿勢が重要です。
- 相手への思いやりと感謝: 相手を尊重し、日々の小さなことにも「ありがとう」を伝えられる気持ちを持ち続けること。
マッチングアプリは、現代において最も効率的かつ目的意識の高い「出会いのきっかけ」を提供するツールの一つです。オンラインでの出会いは、現代のライフスタイルに合致しており、結婚への真剣度や事前のすり合わせのしやすさといった点で、むしろ安定した関係を築くための「強み」となり得ると言えるでしょう。また、最近では結婚相談所でもオンラインでの相談ができたり、マッチングアプリと結婚相談所のいいとこ取りができるゼクシィ縁結びエージェントなどの選択肢もあります。ぜひ、こちらの記事を参考にしてみてください。
出会いの場がどこであれ、大切なのは、その後の二人の努力と、お互いを深く理解し、尊重し合う気持ちです。マッチングアプリを上手に活用し、あなたにとって最高のパートナーと、長く幸せな結婚生活を築いてくださいね。
